当院での治療例
内科
Case01. 骨髄性非再生性貧血 |
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【来院理由】 頻繁にふらついたり倒れたりしており、他院にて重度の貧血のため輸血の指示を受けたため来院されました。 |
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【処 置】
血液検査上、貧血の程度を示すヘマトクリット値が基準値を大幅に下回っていたため輸血を実施し、症状が緩和されるレベルまで数値を改善できました。その他の検査上の異常としては炎症性マーカー(CRP)が高値であったのみで、レントゲンやエコーでも目立った所見はありませんでした。精査は希望されませんでしたので骨髄生検までは実施していませんが、骨髄繊維化や骨髄異形成症候群などの骨髄疾患をベースとなした非再生性貧血と考えられました。ステロイドやシクロスポリンといった免疫抑制剤とは別に、骨髄性の疾患に効果を発揮しやすいセルセプトという免疫抑制剤を使用し、輸血後の内服薬治療を継続していただいています。 |
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【備 考】
貧血は様々な原因で生じます。事故などに起因する大量出血の場合、血を作るはたらき(造血作用)は失われていないため危機状況を乗り切れば自然回復を期待できます。これに対して、たとえば血液を作る箇所である骨髄に病変がある場合ですと、造血作用が損なわれているために血球細胞が寿命を迎える速度に追いつけなくなって貧血を起こすことがあります。これを非再生性貧血と呼び、造血作用を回復させることが治療の目標となります。そのために免疫抑制剤を用いた治療が一般的に行われ、当院では治療効果の高いセルセプトという薬剤を選択肢に入れています。 |
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Case02. 糖尿病 ―猫― |
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【来院理由】
多飲多尿を主訴に来院されました。 |
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【処 置】
血液検査、レントゲン検査、エコー検査を実施し、高度の血糖値上昇を認めたため、糖尿病と診断しました。使用するインスリンの容量を決定するため5日間の入院を行い、退院後は決定したインスリンの容量によるインスリン注射をお家で実施して頂きました。1週間後の再診時に再び血糖値を測定し、良好に維持している事を確認出来たため、その後は1か月に1回の再診と血糖値の定期検査をお願いしています。 |
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【備 考】
猫の糖尿病は肥満、膵炎、クッシング症候群等が発症原因となる事があります。長期の高血糖が続くと糖尿病性ケトアシドーシスという状態に陥る可能性があり、これは命に係わる状態です。インスリン治療は生涯必要になりますが、血糖値を良好に維持出来れば通常の生活を送る事が出来ます。インスリン注射の方法は退院時に注意点と共に説明致します。 |
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