愛犬や愛猫の手術となると、多くの飼い主様が不安を感じるのは自然なことです。特に「高齢の犬や猫でも麻酔は安全だろうか」「ちゃんと麻酔から覚めるだろうか」といった心配をされる方も多いのではないでしょうか。
今回は、動物医療における麻酔の重要性や、なぜ高齢の犬や猫でも安全に手術を受けられるのかについて詳しくご紹介します。
動物医療における麻酔の重要性
手術を受ける際、愛犬や愛猫が痛みや不安を感じることなく、リラックスして手術を受けられるようにするために、麻酔は欠かせません。
麻酔薬は主にプロポフォール、ケタミン、メデトミジン、ブトルファノールなどを組み合わせて使用し、人間と同様に気管挿管によってイソフルランを吸入させます。
必要に応じて、アトロピン、エピネフリン、ドパミン、アチパメゾールを併用し、麻酔の安定を図ります。
麻酔には全身麻酔(意識を完全に失わせるもの)と、局所麻酔(体の一部だけに麻酔をかけるもの)があり、動物の場合は手術中に体が動いてしまうリスクがあるため、全身麻酔が主に使われます。
全身麻酔には痛みを感じさせないだけでなく、手術中のストレスを減らし、体が無意識に動かないようにする効果もあります。これによって、動物がリラックスして手術を受けられるだけでなく、獣医師が安全に手術を進められる環境が整います。
近年では、麻酔技術や麻酔薬が大きく進歩し、動物一頭一頭の健康状態や年齢に合わせた最適な麻酔プランを組み立てることができるようになっています。
高齢の犬や猫に対しても、安全で適切な麻酔が可能ですので、安心して手術を受けていただけます。
高齢のペットの麻酔手術
「うちの犬(猫)は高齢だから、麻酔をかけるのが心配…」と思われる飼い主様も多いかと思います。実際に、他院で「年齢のため麻酔は難しい」と言われた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、適切な麻酔技術を使えば、年齢に関係なく安全に手術を受けることができます。
手術中は、心拍数や血圧、血中酸素飽和度などを細かくモニタリングし、体調の変化があればすぐに対応できるようにしています。術後も、麻酔から目覚めた後の様子を丁寧に見守り、必要な処置を迅速に行う準備を整えています。
当院では19歳の犬に麻酔を行い、無事に手術を終えた実績もあります。手術後の回復も順調で、その後も元気に過ごしています。このように、麻酔技術と管理がしっかりしていれば、高齢の動物でも安全に手術を受けることができるのです。
麻酔前の健康チェックの重要性
麻酔をかける前には、事前にしっかりとした健康チェックを行うことが非常に大切です。体調をきちんと確認することで、手術や麻酔のリスクをできる限り抑えることができます。
具体的には、血液検査で肝臓や腎臓の働きを調べ、麻酔薬が体内できちんと代謝されるか確認します。また、レントゲンやエコーで心臓や肺の状態をチェックし、呼吸や循環に問題がないか確認します。
特に高齢のペットの場合、若い時に比べて臓器の働きが弱まっていることがあるため、より慎重な健康管理が求められます。
当院では麻酔前の健康チェックを丁寧に行い、それぞれの動物に合わせた麻酔プランをしっかりと立てていますので、安心して手術に臨んでいただけます。
飼い主様へのアドバイス
手術に向けて準備を進める際、飼い主様が気を付けるべきポイントをいくつかご紹介します。
<事前の食事制限>
手術前日は、夜以降の食事を控えていただく必要があります。具体的な時間や内容については獣医師から指示がありますので、その指示に従ってください。
おやつも与えないようにしましょう。
<ご自宅での健康確認>
病院での健康チェックだけでなく、ご自宅でも普段と違う様子がないか注意深く観察することが大切です。
少しでも気になる点があれば、手術前に獣医師にご相談ください。
<術後のケア>
手術後は、痛みや不安を感じることがあるかもしれません。ご自宅ではできるだけ静かでリラックスできる環境を整えてあげましょう。無理に動かさず、ゆっくりと休ませることが大切です。
<術後の食事>
手術後は点滴で水分や栄養が補われているため、すぐに食事や水を与える必要はありません。まずは少量の水から与え、問題なければ少しずつ食事を始めましょう。具体的な指示については獣医師にお尋ねください。
まとめ
愛犬や愛猫の手術となると、麻酔に対して不安を感じるのは当然のことです。私たちはその気持ちに寄り添いながら最新の麻酔技術と丁寧な管理で、できる限り安心して手術を受けられるようにサポートしています。
当院では、高齢の動物でも麻酔を安全にかけられる環境を整えていますので、何かご心配なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
埼玉県さいたま市浦和区 結城チロロ動物病院
Tel: 048-884-1211