犬と猫の心臓病について|呼吸が苦しそうな場合は要注意|原因・症状・治療法を獣医師が解説!

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犬と猫の心臓病について|呼吸が苦しそうな場合は要注意

飼い主様にとって、大切な家族である愛犬や愛猫が健康で長生きしてほしいという願いは共通のものですが、高齢になると心臓病にかかりやすくなります。

心臓病は一度かかると一生のお付き合いとなる疾患ですので、早期発見と適切な管理が重要です。


実際、ペット保険の保険金請求でも心臓病は上位に位置しており、多くの飼い主様がこの病気と向き合っています。


今回は、犬と猫の心臓病について、症状、原因、診断方法、治療方法など解説していきます。

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症状

心臓は血液を全身に送り出す重要な器官であり、その機能が低下すると命に関わる場合があります。犬や猫が心臓病にかかると、以下のような症状が現れます。


・安静時の呼吸が速くなる(1分間に30〜40回を越える)
・咳をする
・元気がない、ぐったりとする
・疲れやすくなる
・運動を嫌がる
・食欲がなくなる
・体重が減少する
・腹部が膨れる(腹水)


特に、呼吸が苦しそうな場合や、頻繁に咳をするようになった場合は、早急に動物病院を受診することが重要です。

心臓の主な病気

犬や猫の心臓病の原因はさまざまで、先天性のものもあれば、後天的に発症するものもあります。


<犬>

・僧帽弁閉鎖不全症


左心房と左心室を仕切る僧帽弁に異常が生じ、弁が完全に閉じなくなります。その結果、左心室から左心房へ血液が逆流するようになります。特に小型犬に多く見られ、最も一般的な心臓病の一つです。

拡張型心筋症

心臓の筋肉に異常が起こり、心筋の壁が薄くなることで心臓の収縮力が著しく低下します。その結果、全身に十分な血液を送ることができなくなります。


ドーベルマンやグレート・デーンなどの大型犬に多く見られる病気です。


洞不全症候群

心臓が規則正しく拍動するための電気を作る部位(洞房結節)の働きが悪くなることで、徐脈などの不整脈が起こります。これにより、虚脱や失神といった症状が現れます。


特に中年齢以降の犬や、ミニチュアシュナウザー、ダックスフント、コッカースパニエル、ウエストハイランドホワイトテリアなどの犬種に多く見られます。


三尖弁閉鎖不全症

右心房と右心室を仕切る三尖弁に異常が生じ、弁が完全に閉じなくなることで、右心室から右心房へ血液が逆流するようになります。


<猫>

肥大型心筋症

心室の心筋が徐々に厚くなり、伸縮性が低下すると、心房から流れてくる血液を十分に心室内に受け止められなくなります。やがて鬱血性心不全へと進行し、胸水貯留や肺水腫などの重篤な病気を引き起こします。


猫で最も一般的な心臓病の一つです。


動脈血栓塞栓症

血管内や心臓内でできた血栓が血管を塞いでしまう病気です。最も一般的な原因は肥大型心筋症です。

この病気は突然症状が現れ、急速に状態が悪化するため、非常に危険です。

<犬・猫 共に>

心タンポナーデ

心臓を包む二重の膜(心内膜)の間の空間である心膜腔内に大量の液体が急速に溜まることで、心臓が十分に拡張できず、正常な拍動が抑制されてしまう危険な疾患です。


肺高血圧症

心臓から肺へ血液を送る肺動脈の血圧が高くなる病気です。

僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症に関連して発症することが多くあります。

診断方法

心臓病の診断には、まず問診と身体検査が行われます。問診では、飼い主様から犬や猫の行動や食欲、運動量などの情報を詳しく聞き取ります。その後、以下のような検査を行います。


・聴診:聴診器を使って心雑音の有無や呼吸時の肺の音を評価します。
・レントゲン検査心臓の大きさや形、肺水腫の有無を評価します。
・心エコー検査:超音波を用いて心臓の動きや心臓の中の様子をリアルタイムで確認することで、心臓の状態を詳細に評価します。心エコー検査は心臓病を診断する上で最も重要な検査です。
心電図検査:心臓の電気的活動を記録し、不整脈や心臓の異常を検出します。
血液検査:心臓に負担がかかっているかどうかを調べるために行われます。特定の酵素やマーカーのレベルを測定し、心臓の健康状態を評価します。
血圧検査高血圧が心臓にどれだけ負担をかけているかを評価します。高血圧は心臓病のリスクを高めるため、血圧を管理することが重要です。

治療方法

心臓病の治療は、病気の進行度や種類によって異なります


初期段階では、生活習慣の改善や薬物療法が主な治療法となります。薬物療法では、利尿薬や血管拡張薬、強心薬などが使用され、心臓の負担を軽減します。


重症の場合は、手術が必要となることもあります。

ご家庭での注意点

犬や猫の体重管理が大切で、適切な体重を維持することで心臓への負担を軽減できます。適度な運動も必要ですが、心臓の負担になってしまうので無理をさせないように注意しましょう。


また、心臓病は進行すると命に関わる恐ろしい病気なので、悪化しないように病院で定期的に診察を受けることが大切です。


ペット保険に加入している場合、心臓病に対する保険適用が可能なこともあるため、詳しくは各保険会社や動物病院にお問い合わせください。

まとめ

犬と猫の心臓病は、高齢になると特に注意が必要な疾患です。早期発見と適切な管理が、愛犬や愛猫のQOL(生活の質)を大きく左右します。

症状に気付いたら早めに獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

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