猫の尿石症(尿路結石症)・膀胱炎の早期発見と治療法|会陰尿道瘻術で再発防止と快適な生活へ

結城チロロ動物病院トップページへ

〒330-0044
埼玉県さいたま市浦和区瀬ヶ崎3-16-5

結城チロロ動物病院 電話番号048-884-1211

9:00~12:00/16:00~18:30
※ 木曜休診日

猫の尿石症(尿路結石症)・膀胱炎の早期発見と治療法|会陰尿道瘻術で再発防止と快適な生活へ

猫の尿石症(尿路結石症)は、腎臓から膀胱へつながる尿管や、膀胱から尿道にかけて結晶や結石ができる病気です。この結晶や結石が原因で、排尿時に強い痛みを感じることがあり、飼い主にとっても辛い状況になることがあります。


また、膀胱炎はストレスや細菌感染が原因で膀胱に炎症が起こる病気で、これも排尿時に不快感や痛みをもたらし、猫にとって大きな負担になります。


どちらの病気も排尿の問題を引き起こし、猫の生活の質に深刻な影響を与える可能性があります。


今回は、猫に多い尿石症と膀胱炎について、詳しく解説します。


alt_text

尿石症とは?

猫の尿石症は、食事内容や水分の不足、遺伝的な要因、細菌感染などが主な原因です。特に、ミネラルを多く含む食事や水分不足による濃い尿は、尿のpHバランスを崩し、結石ができやすくなります。


尿石の種類によっては、結石の溶解が可能な療法食もあります。

代表的な結石の種類には「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」があります。


ストルバイト結石は、マグネシウムやリンが豊富な食事や、水分摂取不足により尿がアルカリ性に傾いた時に形成されやすい結石です。この結石は食事療法で溶解が可能なことが多く、早期に適切な治療を行えば改善が見込まれます。


一方、シュウ酸カルシウム結石は、尿が酸性に傾くことで形成されることが多く、食事療法では溶解ができません。このため、シュウ酸カルシウム結石ができた場合は、外科的な除去や定期的なモニタリングが必要です。


どちらの結石も放置すると、尿道閉塞や腎臓に影響を及ぼす危険があります。


<症状>

頻尿:短い間隔で頻繁にトイレに行きますが、尿があまり出ません。
排尿困難:尿が出にくくなる、または少量しか出なくなります。
血尿:尿に血が混ざることがあります。
排尿時の痛み:排尿時に痛みを感じて鳴いたり、痛みのために排尿を途中でやめてしまったりすることがあります。
尿道閉塞:尿道が完全に詰まると、尿が出なくなり、緊急事態に陥ることもあります。


<予防法>

食事管理:結石予防や溶解に特化した療法食を与えることが有効です。
水分補給:新鮮な水を常に用意し、水分不足を防ぎましょう。
定期的な健康診断:尿検査や画像診断を定期的に受けることで、結石を早期に発見できます。


膀胱炎とは?

猫の膀胱炎は、主に細菌感染やストレス、そして環境要因によって引き起こされることが多いです。細菌感染は、尿路に細菌が侵入することで発症しますが、ストレスや生活環境の変化も膀胱炎の原因となります。


特に、特発性膀胱炎はストレスが主な原因で、明確な感染源がない場合もあります。

また、メス猫はオス猫に比べて尿道が短いため、細菌が膀胱に到達しやすく、膀胱炎にかかりやすいと言われています。


<症状>

頻尿:短い間隔で頻繁にトイレに行くが、尿量が少ない。
血尿:尿に血が混ざることがある。
排尿時の不快感:排尿時に痛みや不快感があり、トイレの時間が長くなる。
トイレ外での排尿:トイレで排尿せず、中の別の場所で排尿してしまうことがある。


<予防法>

清潔なトイレ環境:常に清潔で猫が快適に使えるトイレを保ちましょう。
ストレスの軽減:環境を整え、猫がリラックスできる生活空間を作ることが予防につながります。
水分補給:十分な水分を摂らせ、膀胱内の細菌を排出することで膀胱炎を防ぐことができます。


会陰尿道瘻術について

会陰尿道瘻術は、尿石症が再発しやすい猫に対して行われる手術です。この手術では、尿道の狭い部分を切除し、新しく肛門の近くに排尿の出口を作ります。これにより、尿道の詰まりを防ぎ、猫がスムーズに排尿できるようになります。


手術後は尿石の再発リスクが低下し、排尿が快適になります。しかし、術後は感染のリスクがあるため、定期的なケアや尿検査が必要です。また、数日間の入院が必要ですが、術後の回復とともに猫の生活の質は大きく向上します。


この手術のメリットとして、尿道が広がることで尿石症が再発しにくくなることが挙げられます。ただし、手術後も定期的なケアや尿検査が必要で、感染や術後の合併症のリスクもあるため、慎重な管理が求められます。


手術後は数日間の入院が必要ですが、術後は排尿のトラブルや痛みが改善され、猫の生活がより快適になることが期待できます。


その他の治療法と管理方法

尿石症や膀胱炎に対しては、手術以外にもさまざまな治療法が適用されます。


<尿カテーテルを利用した内科治療>

膀胱結石に対する内科治療として、当院では尿カテーテルを使用し、結石を排出させる方法も行っています。安全に配慮しながら慎重にカテーテル操作を行い、飼い主様と相談の上、数日間の入院または通院による管理を行うことが多いです。


この方法により、手術を避けて結石の排出を目指すことができる場合もあります。


<抗生物質治療>

細菌感染が原因の場合、抗生物質による治療が行われます。症状は数日以内に改善することが多いです。


<食事療法>

結石の種類に応じた療法食を与えることで、結石の溶解や形成を防ぐことが可能です。特に低マグネシウム・低リンのフードが推奨されます。


<水分摂取の管理>

水分をしっかり摂取させることで尿量を増やし、尿路に溜まる異物や細菌を排出しやすくします。ウェットフードの導入や給水器の活用も有効です。


飼い主様へのアドバイス

猫の尿石症や膀胱炎を予防するためには、日頃からの観察と定期的な健康管理が大切です。


まず、猫が水をたくさん飲むよう、常に新鮮な水を用意することが大切です。流れる水を好む猫には、給水器を使うのもよい方法です。また、トイレは常に清潔に保ち、猫が快適に使用できるようにしましょう。猫の数に対してトイレは「頭数+1つ」用意するのが理想です。


そして、尿の量が少なすぎないか、頻尿や血尿、排尿時の違和感がないかなど、尿の状態や排尿行動を観察する習慣をつけましょう。もし異常が見られた場合は、ペットシートを裏返して尿を吸収させずに採取し、すぐに動物病院へ相談することが重要です。


病気の予防や早期発見のためには、定期的な健康診断を受けることが不可欠です。尿石症や膀胱炎に限らず、半年から1年に一度の健康診断を受けることで、愛猫の体調管理をしっかりと行いましょう。


まとめ

尿石症や膀胱炎は、猫の生活の質に大きな影響を与える病気です。早期発見と適切な治療が、猫の健康を守るために非常に重要です。日頃から水分補給やトイレの清潔さを心がけ、定期的な健康診断を行うことで、愛猫が快適な生活を送れるようにサポートしましょう。


■尿に関連する病気はこちらで解説しています

犬と猫の腎臓病について|原因・症状・治療法を獣医師が解説!

埼玉県さいたま市浦和区 結城チロロ動物病院

Tel: 048-884-1211

診療案内はこちら

結城チロロ動物病院 ページ内遷移